2012.11.3会報No.36

三度目のバンコク勤務 

株式会社ミライト・テクノロジーズ

アジア・パシフィック駐在事務所長

                                                                                                山川 博久

 三度目のタイ王国バンコク勤務をしている。

 一度目は1993年から1995年に、NTTの初めての大型海外投資事業であるTT&Tの事業立上げに従事した。サポート設備部長として、ラインマンセンタ(OPMC)、研修センタ、電力設備等の建設を担当したが、これらの設備は現在も重要拠点等として活躍している。また、社内サッカー部を創設したり、数箇所で日本語教室を開設したり、タイ文字の読み書きにも本気で取り組んだ。今、タイ文字を見ても何となくわかる部分があり、精神衛生的にも心地よい。

 二度目は2000年から2005年に、同じくTT&Tに副社長として派遣された。まず、TT&T社長交代に向けて、候補者面接・選定等を一手に引き受け、主要株主を駈けずり回って合意を得て、ピシット社長(博士、前財務省副大臣)を選定した。また、本誌読者の中には、TT&Tはずっと大赤字と思っている方がいらっしゃると思われるが、私の任期中にV字回復し、2年連続単年度黒字を達成した(図1)。前任者(平良さん)のご苦労とタイ経済の急回復のおかげであるが、TT&T社員に久しぶりにボーナスが支給され、いつも笑顔の社員たちがさらに喜んでいたことを思い出す。バンコク盲学校での日本語教室を再開したり、僧侶として午前2時起床、托鉢、一日一食などのタイ仏教修行(夏季休暇10日間)をしたり、英国第3の歴史を有するダーラム大学の経営学修士(MBA)を取得したり、有意義な私生活も過ごすことができた。


          1 TT&Tの当期損益                                                 写真1 TT&Tで旧友と再会

 

 2005年に日本帰国後のTT&Tの動きを簡記する。20084月、TT&T2回目の破産・更正を申請したが、破産裁判所はTT&T自体を更生計画人と認めず、(TT&T最大株主ジャスミンの圧力で)2003年に退任していたピシット前社長が設立したコンサル会社を更生計画人に選定した。その結果、ジャスミングループはかなりの痛手を受け、株主比率が約2%となり、TT&Tと対抗する会社に転換している。昔のTT&T人財はかなり流出したが、チャムナン・ヤイがCEO、チャムナン・レックがVPなど健在である(写真1)。

 一方、私自身は(株)コミューチュアに入社し、神戸支店長、安全品質管理本部長など経験したが、ミライトグループの経営統合に伴い、海外事業の展開・強化が図られることになり、2011年にマニラに転勤、フィリピンの現地法人社長及び豪州の現地法人会長兼CEOを経験した。マニラはあまり安全でない場所もあるが、アパート周辺で走りこみ、妻と一緒に現地のマラソン大会(3キロの部)に出場したことは楽しい思い出である(写真2)。


       写真2 マニラでマラソン大会出場                       写真3 事務所が入居しているビル

 

 さて、三度目のバンコク勤務。「三度目の正直」とは、「占いや勝負で、はじめの一度や二度は当てにならないが、三度目は確実であるということ。転じて、物事は三度目には期待どおりの結果になるということ」(デジタル大辞泉)である。一度目、二度目も上述のように、いろいろと楽しく、期待どおりであったと思うが、今回のバンコク勤務はもっと楽しく、有意義になるのかもしれない。わくわくしながら、またギラギラと闘志を燃やしながら、毎日を過ごしているところである。

 皆様、バンコクにお越しの節は、いつでもお気軽にお声をかけていただければ幸いです(写真3)。